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軽量架線キットによる林地残材の搬出

軽架線キットを使った搬出作業講習会

木材の搬出作業は、林業技術の中でも専門性が高く、重機や装置の使い方及び設置、作業そのものに技術力が要求される特殊な業務である。今回は、素人でも材の搬出が可能という事例や指導経験をもつ講師から、軽量架線キットを使った搬出作業を学び、修得することがねらいである。マキビトにそのスキルが伴えば、仲間同士で林地残材を搬出して、小さな収益(副業/残材の売却収益)を喜べると同時に、薪の確保や技術向上などの相当な受益となる。

マキビト事業では、矢作川水系森林ボランティア協議会が考案した「下げ荷システム」を基に、軽量化と改良を加えた搬出キットを使って実践した。軽量架線キットは、林内にナイロンロープを架線として張り、滑車を用い、ポータブルウィンチの動力で材木を吊り引き寄せ作業道まで搬出する機材セットである。この搬出方法には類似するパターンがあり、現在、NPO法人土佐の森救援隊を筆頭に、矢作川水系森林ボランティア協議会NPO法人夕立山森林塾、鳥取県智頭町など日本各地で運用がされている。軽量で扱いやすく誰でも材を搬出できるという画期的な方法として提案されている。ナイロンロープは通常使われるウインチワイヤーと重さが極端に違う。90mの架線ロープの重量は約5kg。集材用ロープも重量11kgと軽いのが利点。その平均破断強度は架線に使用するロープが8.9t、ウインチに使用するロープが4.7tの強度である。架線を60m張る場合、ロープが軽いゆえ慣れれば30分余ででき、架線の免許も必要としない。ロープの巻き取りはポータブルウィンチを使用。単純かつ手軽な感覚で操作が出来るシステムである。

(作図:嶋村浩)

 現地講習

10月1日、2日、9日、10日の4日間、林地残材の搬出を行った。素人であるマキビトでも搬出可能な林を選定(0.55ha)し、90mのナイロンロープを架線に用い、林内から道沿いまで、丸太をおよそ30m3搬出した。そのうち25m3は薪にするための2m玉切りであり、軽トラック約30杯分を里に搬送した。貯めた5m3とまだ林地に残っている4m材は良材であるので、森林所有者である松川入財産区が後ほど木材共販所に販売した。

作業には、のべ54人が参加。チェーンソー講習会の参加者数は3日間でのべ44人だったのに対し、搬出講習の参加者数は4日間でのべ30人だった。

搬出作業後のアンケートでは、多数の参加者が作業内容を肯定的に捉えていた。うち半数から「慣れが必要」、3割が「だいたいできた」との感想を持ち、素人でも搬出技術の習得が比較的安易にできる様子が伺えた。

参加者の感想に「難しそうに思ったがやってみるとできた」という意見も複数あり、受け入れられた感じがある。「材搬出前と搬出後では林内の景観が大変良くなった」とか「明るくなった」など、森林のあるべき姿に近づいたことに対し誰もが達成感を持った。また、作業は複数でおこなうため、先柱と元柱とのコミュニケーション、荷揚げのタイミング、架線の安全、スムースな指示判断が非常に重要であることが共通認識となった。

実際に山に入って作業しました。

ロープを張って木材を引いているところ。

作業の様子

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