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「マキビト事業」概略

緑の分権改革」調査委託事業 「マキビト事業」とは

マキビト事業は、市内の薪ストーブ愛好者と山林所有者(財産区)の間をつなぎ、林地残材を薪として利用・販売することで、地域に新たな絆と経済を創出することを狙った住民参画型事業です。

マキビト事業概要図(クリックで拡大します)

 

調査事業の受託に至る経過

長野県飯田市は長野県の最南端に位置し、東に南アルプス、西に中央アルプスがそびえ、南北に天竜川が貫く日本一の谷地形が広がり、豊かな自然にあふれる都市である。目指す都市像に「住み続けたいまち 住んでみたいまち 飯田 人も自然も輝く 文化経済自立都市」を掲げ、低炭素社会を目指す「環境モデル都市」としてロードマップづくりと並行し、森林率84%と豊富な資源である「もり」の活用を検討している。

森林を所有する松川入財産区では、議員を中心に木材利用、環境や教育および林業技術の継承に関して先行きを案じ、現状を改善する必要について話し合われていた。そこで林地残材の無償提供および地域文化や林業技術の伝承への協力する機会を検討していた。

そこで飯田市林務課がプランを検討し総務省へ「マキビト事業」を申請し、平成23年7月下旬に採択の内示をいただき、事業実施の運びとなった。

調査事業の受託に至る経過

  1. 「環境モデル都市」ロードマップづくりと並行し、「もり」の活用を検討。
  2. 松川入財産区では、22年度後半から「支障木・残材等で減CO2しよう」という取り組みを開始。 直轄治山事業の関係者ご協力により、出た支障木を燃料等に活かす。
  3. 5~6月、財産区議員が「支障木・残材等と利用して薪づくりをおこない山と里とつなぐ循環」を検討。
  4. 「いつか森林づくりに寄与できる人材の育成及び教育の再構築」を願い、松川入財産区はその間伐材(林地残材)を無償で提供することとした。
  5. 6月、飯田市は総務省へ「マキビト事業」申請。
  6. 7月下旬、総務省から採択の内示。
  7. 8月、薪ストーブ利用者(193件)にアンケート。 薪の需要や技能習得の意向を調査。
  8.  8月下旬、「マキビト説明会」に約70名出席。
  9. 有志がマキビトに登録、34名

事業の目的

薪の利用者を募り「マキビト」を結成、環境教育や次世代育成を絡め「森林塾」を組織化。住民と森林との距離を近づけ「森近感(しんきんかん)」を育み、暮らしに木質バイオマスが循環する小さな経済と絆の仕組みづくりを、検証していく。
①チェーンソー講習
②軽量架線キットによる林地残材の搬出
③3校の小学生・親子PTA等と「薪割り体験」
④薪の販売

図:マキビト事業の目的

 

事業実施体制および計画

全体のマネジメント(企画、呼びかけから始まる進捗管理)は飯田市林務課がおこない、薪ユーザーや当該事業参加者の中から、マキビト組織化を誘導し、運営母体化を図る。マキビトは薪づくりに関するスキルを取得し、財産区は山林を提供し事業に協力する。小学校は児童と保護者を当該事業へ参加するよう協力する。

実施計画

  1. 市内の薪ストーブ愛好者等が、「林地残材搬出―薪づくり」の技術(機械操作ほか)を学び、「マキビト」となる
  2. 山林所有者(財産区)が残材を提供。市は小学校などで「親子森林塾」を開催し、マキビトとともに、薪づくりと環境教育活動をする
  3. 薪は、地域内外に販売する。その収益は、山林所有者、マキビト、小学校(子供たち)で分配する
  4. 薪の購入者は、灯油暖房機などの化石燃料の代替としてその薪を使いCO2削減をする
  5. 薪の販売ほか、木質バイオマス利用の拡大における調査を実施
  6. マキビトは技術を体得し、組織化を目指す
  7. 結果、林地残材が片付き森も良好になり、マキビト活動が開始し子供や地区に「小さな経済」効果(利益)が行き届き、活動が継続する

今後のビジョン

これまで専業の従事者と森林所有者のみが関わる森林利用の形であったが、マキビト事業を実施することにより、情報や技術が集約し、発信され森林利用の活用が促進することが期待される。これまで当たり前の様に見られた薪や炭など森林資源を利用する地域文化について、再考され、現代型循環型社会の足掛かりとなり得る可能性がある。そうして利用が一般に広がることにより、経済的価値、また吸収源対策としての森林といった環境的側面や森林の存在意義そのものが高まる可能性が考えられる。また、ボランティア等同志が活動を続けることによって専業従事者や森林所有者を巻き込みながら「絆」「協労の輪(和)」を広め、自立型地域コミュニティを形成していくことが予想される。

図:薪人 組織化ビジョン

図:薪人を山と里をつなぐ組織に

 

↑:「緑の分権改革」調査委託 実績報告

→:取組報告

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